行政書士に依頼をする前に①料金

では前回の記事の詳細について迫っていこう。
今回は、行政書士に依頼をする前に確認しなければならない5つのことについての詳細、その1.料金についてである。
あくまで料金、つまり金額は自由であるので、一概に高いからと言ってぼったくり業者と断定するべきではないが、相場というものは以前として存在する。相場は地域によっても異なるので、以下の点に気を付けながら周囲の業者の料金などもチェックしていくと良いだろう。
ちなみに蛇足であるが、確認しなければならない、というタイトルだと少し長いので、確認すべき、とすべきであった。ギャグではない。

許可申請に必要となる料金とは

申請に必要となる料金は、総括で記載したように、大きく3種類に分類することができる。
今回は風俗営業2号営業許可の申請を例として如何に分類を試みる。

1.事務所の報酬額

依頼をする行政書士事務所に支払う金額である。現在は料金の自由化のため、事務所によってかなり料金が異なる。風俗営業許可であれば、15~25万といったところであろうか。ちなみに当事務所では営業所の面積によって異なるが、原則20万(税抜)である。料金を確認する際に注意すべきは、

ア 消費税が含まれているかどうか。
 現在は8%、将来的には10%となると見込まれるため、20万であれば2万である。内税であると思い込んでいたら税抜であった、などということは、揉め事の種になるため気を付けるべきである。消費税はあって当たり前という認識もあるが、行政書士は個人単位で動いているため、消費税の課税対象でない事務所も多い。

イ その他、付随手続が存在するか、また存在するのであれば、その費用は含まれているのか。
 風俗営業2号営業許可は社交飲食店であるため、申請するには食品営業許可が必要となる。この保健所への申請手続は誰が行うのか、また申請に必要となる諸費用は含まれているのか、という問題がある。当然料金に含まれている、という事務所と、当然別途費用を必要とする、という事務所と別れるところであろう。つまり、法律上「風俗営業の申請をお願いします」と言えば「あくまで風俗営業の許可申請を」と解釈している行政書士と、「風俗営業を開業するまでの諸手続き」と解釈している行政書士がいるということである。

以上2点である。消費税は至極当たり前の話だが、付随手続については許認可特有のものであろう。付随手続を含めた結果、想定していた開業費用を大幅に上回ってしまうこともある。これが悪質、または親切でない、と感じるかどうかは人の価値観による。つまり、その行政書士の価値観によるため、信用できそうな人であるから、知り合いの紹介であるから、という思い込みには気を付けた方が良い。特に、相場より安い金額であるような場合には。「開業するまでに必要となる費用、以上で全てですか」と、念を押しておくべきである。

また、この手の問題の発生時に事務所側からよく聞かれるのは、許認可取得という依頼目的は達している、という返答である。
誠にその通りではあるのだが、趣旨から鑑みれば、まるで目的を達していないという意味に気付いてほしいものである。

これからの行政書士は単なる許認可屋ではなく、新規開業の綜合窓口としてコンサルティングを行わなければ、到底生き残ってはいけないのではないかと感じる。

2.登録免許税や申請に係る手数料

この費用の説明が抜けている、というのも、よくクレームに繋がる問題である。
多くの許可申請には、登録免許税や申請手数料が必要となる。要は、行政書士事務所に支払う報酬ではなく、申請先地方公共団体や行政庁に収める金額である。
風俗営業2号営業許可であれば、24000円を申請時に神奈川県証紙にて貼り付けする。
また、前項で触れた食品営業許可であれば、16000円を現金にて納付する。

つまり、一から飲食店の営業許可を取得、同時に風俗営業2号営業許可を申請する場合には、少なくとも40000円以上の実費が必要となるということである。
行政書士は、口頭レベルで料金を説明してしまうと、つい自分の報酬額のみ告げてしまいがちである。また、報酬以外の許可についていくらですか、と聞こうものなら、(許可は)24000円です、と答えが返ってくる。保健所手続や下記の諸雑費が抜けていることが往々にして散見されるのである。この申請及び付随手続に係る登録免許税額、及び3.で説明する諸雑費が含まれているかどうかは、くれぐれも確認を怠らないようにされたい。

3.諸雑費

申請に付随する費用として、最後に諸雑費がある。
代表的なものとしては、住民票や身分証明書を取得する際に市役所へ納付する小為替や、そのための郵便費用。また申請時の交通費なども挙げられる。
細かい事務所であると、電話の費用まで計上すると言うが、この諸雑費の積み重ねは案外馬鹿にならない。
また、一律でこの申請には1万円、住民票の取得には一回1000円、などと枠を決めている場合もある。

また補足として、通常の申請では発生しない例外物件に係る費用なども存在する。例えば申請予定営業所の近辺に保護対象施設などが存在する場合、距離の証明のために土地家屋調査士の測量費用として10万円以上の追加費用が発生する、などというケースも十分にあり得るのである。

あなたが希望する結果を得るために、どのような諸雑費を、どのように処理しているのか。
あらかじめ知っておいた方が無難である。

支払時期

この項目については期間の記事にて説明するべきかも知れないのだが、一応触れておく。
報酬の支払い時期は大きく分けて3パターン存在する。
ア 業務開始前
イ 許可申請後
ウ 許可取得後
業務開始前であれば、否応なく支払う以外ないが、許可申請後や許可取得後の場合は、上記の登録免許税や諸雑費の支払い時期も確認しておくと良い。手付金や預り金の名目で、先に数万円のみ振込と言うケースもある。

まとめ

料金について、依頼をする前に知っておくべき事項、如何であったろうか。若干、杓子定規な感はあるが、知っておいて損はないと思う条項である。
金銭について行政書士と揉めるのは、双方にとって一番不幸なことである。許可は輝く未来へ向かってのステップである。本来であれば行政書士も気持ちよく仕事がしたいであろうし、依頼者も気持ちよくお金を払いたいであろう。無論、一部の悪徳業者や、一部の報酬の不払いをする依頼者を除いてのことだ。

しかし人間であるため、説明や伝達の不備というものは避けられないものである。もしあなたが上記のような知識を備えていたならば、無用のトラブルを防ぐことができるかも知れない。
この記事が少しでもあなたの役に立つことを祈る。

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