行政書士に依頼する前に③成果が得られなかった場合

さて、行政書士に依頼する前に、のシリーズも早3回目である。
では今回は依頼をしたものの、その目的を達することができなかった場合についての確認に関してである。
そのケースや方法に関して書いてみよう。

成果・目的が達成できない場合には

言い換えれば、許認可が取れなかった場合、とも言えるだろう。
さらに細かく言えば(業務によってはニュアンスが異なるが)、そのほとんどが
1.申請をした許可が下りなかった場合
と、
2.準備期間や審査期間が長くなり、予定通りの営業開始が叶わなかった場合
に分けられるかと思う。

そして一番重要な、その結果としてどうなるか、である。
では確認方法も含めて、順を追って見ていこう。

申請をした許可が下りなかった場合

このケースは、多くが行政書士による要件の見逃し、または説明の欠如により起こるものだ。
営業所の近くに保護対象施設があったり、用途地域を間違えていたり、営業所と駐車場の距離を測り間違えたり、といった問題が考えられる。
また、依頼者についての欠格要件を、伝達情報不足で伝えきれなかった場合などもある。
例えば一定の法令で罰則を受けた場合、欠格要件に該当し、不許可となるという条項があるが、その確認を怠ったり、説明不足であったり、また依頼者が黙秘していたりすると、後日判明という形で不許可を迎える。

またまれではあるが、許可申請後に保護対象施設の開設が決まるなど、外的要因によることも有り得る。
ほとんどは当初の聞き取り、調査を正確に行っていれば防げるものである。

準備期間や審査期間が長くなり、予定通りの営業開始が叶わなかった場合

これは実際に申請を行うまでの期間が予定より長くなったり、添付書類の欠如によって審査期間が長くなるというケースである。
多くは準備不足(実際に着手していなかった)、知識不足(要件について知らなかった)であるが、依頼者に求める情報、書類などが揃わないために起こることもある。
例えば印鑑証明書を依頼者本人から受領する予定の場合、印鑑証明書が法定添付書類であれば、受領するまで申請することができない。つまり、審査期間がスタートせず、いつまでも進まないことになる。
そのうちにその他の公的発行書類の有効期間が切れることも考えられる。そうすると、許可申請が更に遅延することになる。

申請後に依頼者側で対処をするとすれば、
ア 進んでいるかどうか、進捗情報の報告を求めること
イ 必要書類の収集に協力すること
であろうか。

その結果どうなるか

許可が不許可であれば、事業を始めることができない。つまり、それまでかかった時間が無駄になってしまうだけでなく、投下した資本についても回収ができなくなってしまう可能性が高い。許可の通知が遅くなった場合であっても、受注予定の仕事ができなかったり営業開始が遅れてしまっては、いくらかの損害が出てしまうだろう。

もし不許可を受けてしまった場合に選択できる方法は大まかに4つ。
1.諦める
2.同じ行政書士と要件を整えて再申請する
3.別の行政書士に依頼する
4.自分で申請する

そして行政書士事務所側から受けられる可能性のあるものとしては
1.料金の返還
2.無料での再申請
3.損害保証
の3つ(行政書士事務所側に責任のあった原因の場合)。

ただし、多くの事務所では、最初に取得ができなかった場合の説明が有るはずである。
不許可の際は、云々。後日こういったことが判明した場合には云々。
行政書士も万能ではないため、どんな条件でも申請ができるというわけではない。行政書士の仕事は虚偽を述べることではなく、要件が満たないかどうかをきちんと調査し、その対策を練ることである。

まとめ

当然申請を行うということは時間のかかることである。
依頼者側からしてみれば、一刻も早く事業を始めたいわけであるから、許可の取得を一日千秋の思いで待ちわびることであろう。
そんな中、不許可の知らせは到底納得できないものである。
しかし、一部の外的要因を除いて、多くは当初の計画段階できちんと調査をすれば、判明するものである。
許認可が取れない、遅れた、どうしてくれる、などと行政書士と罵り合うのは、双方不幸なことである。
やはり、重要なのは確認を徹底するということであろう。

依頼の際に、きちんと考えられるケースや不許可の場合の話を聞いておく。
それだけで、想定できることや対策を正しく取ることができ、ひいては予想外の損失も最低限に抑えることができるのだ。

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